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尊厳死宣言の公正証書作成に立ち会いました。

コラム

かつて家族信託をサポートしたお客様から、尊厳死宣言公正証書を作成したいとのご相談があり、本日、私も立ち会って公正証書になりました。
尊厳死宣言とは、不治の病にかかってしまった場合に、延命するだけの措置は一切行わないでほしことを宣言し、人間としての尊厳を保った安らかな死を迎えらえるよう準備するものです。

なぜ尊厳死宣言公正証書を作ったのか?

自身が不治の病になったら延命措置はしないでほしいとをおっしゃっている方はよくいらっしゃいます(というより、ほとんどの方がそう思っているのでは?というくらい耳にします。)。
しかし、実際に尊厳死宣言公正証書を作成されたという話はなかなか耳にしません。
そもそも知らない、知っていてもやり方や相談先もわからないので先延ばしになっている、という理由はなんとなく想像がつきます。
では、今回ご相談いただいた方は、なぜ尊厳死宣言公正証書を作ろうと思ったのか?
実は娘さんのお友達に医師がいらっしゃり、その方のお話を聞いたことが一番の動機になったとのことでした。

尊厳死宣言は、自身の希望を叶えられるだけでなく、医師や家族の迷いを払しょくしてあげられる優しさ。

実際に延命措置をしないでほしいとの要望はあっても、医師としては、その時になってみるとなかなか難しいのだそうです。
ご本人はその時には意思表示ができない状態ですから、家族の言葉によって延命措置をやめるしかありませんが、当然ながら、それはご本人の意思ではありません。
そうするとやはり、本当にご本人の意思に沿っていたのだろうか、そうでなかったら、自分は人を見殺しにしてしまったことになる、という良心の呵責に苛まれるのだそうです。
しかし、尊厳死宣言があれば、しかも公証制度の中で公証人という第三者のの確認のもと行われたという書面があれば、かなりそれがやりやすくなる。
医師の90%は書いてあるとおりにやるのではないか、とその方はおっしゃっていたとのことでした。
(やはり、医師の中には、患者を死なせないのが務めだという矜持をもってらっしゃる方も多く、全員が全員、尊厳死宣言に従ってくれるわけではないようです。)

ご自身の尊厳を保つという希望をより確実にできることはもちろん、将来、その時がきたとき、医師だけでなく、家族に対しても最大限迷いを払しょくしてあげられる、そういう優しさを含んだ宣言なのだと、お話を聞いていて思いました。
同席された娘さんも、「私も家族のために作ろうと思う」とおっしゃっていました。
今度、誰かからそのような話を聞いたときには、そのような公正証書を作成することができること、それによってこのような効果があることをお話ししようと思います。
私自身、大変勉強になった事案でした。

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